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キャビネット

フランス

オーク材

1880年頃

横幅：128cm　奥行：64cm　高さ：259cm(天板高104.5cm・上の飾りを外すと231.5cm)

アンリ2世様式のキャビネットです。
このスタイルに人物などが彫刻のモチーフとなることは珍しいことではありませんが、ここまでの高浮き彫りは非常に珍しいものです。
ゴシックを思わせるようなアーチ状の門が人物の背景にあるのも特徴的で、珍しいことだと思います。

ルネサンス様式が盛期を迎え、イタリアなどでは徐々にバロック様式が広まりつつあった時代、ルネサンス様式を主とした様式がアンリ2世様式になります。
年代で言うと16世紀頃、アンリ2世の在位は1519年から1559年までだそうです。
フランスルネサンスの盛期とも言える時代です。
14世紀頃に始まったルネサンスとは、ギリシアやローマの古典と言える文化を復興しようとした運動です。
19世紀中頃にルネサンスリバイバル(ネオルネサンス)が興り、その頃に再び脚光を浴びます。
現存しているアンリ2世様式の家具はほぼこの時代のお品になります。
500年前のデザインが今の我々を魅了していると思うと、美しさとは意外と普遍的なのかなと思ってしまいます。

アンリ2世様式のキャビネットにステンドグラスが使われているのも珍しいところです。
使われていても幾何学模様のような直線や曲線の繰り返しのデザインのものがほとんどです。
このお品のステンドグラスは絵画的で、どことなくアールヌーボーを感じさせるような雰囲気があります。
植物などのモチーフを曲線的に表現したアールヌーボーが流行し出した頃に作られたものなので、影響を受けていても不思議はないように思いますが、あまり見かけることはありません。
ミュシャのイラストにも人物の背景に半円や円形などを見たりするところまで想像を拡げるのは考えすぎですね。
曲線的で美しいデザインのアールヌーボーですが、非常に数が少なくほとんど見つかることがないため、ついそちらに考えがよぎってしまうのはアールヌーボーを探しすぎているからですかね。
それはさておき、荘厳さの中にステンドグラスをはじめとしたどことなく曲線的なデザインがあるのは非常に魅力的だと思います。

非常に背が高く大きなサイズはフランスアンティーク家具らしい重厚さだと思います。
日本の住宅事情ではこのお品が置けるような個人宅は多くはないのかもしれないですね。
最上部のベランダ状の飾りは取り外すこともできるので、もったいない気もしますが、こうした使い方もぜひご検討くださいね。
上下と最上部のベランダ部分と大きくは3つに分割できるので、搬入も問題ないかと思います。

引き出し底板や背板にも無垢材が使われた総無垢のお品になります。
実用強度などでは合板と優劣はないですが、味わいとしては無垢材は魅力があると思います。
無垢材ゆえの収縮によるすき間とその補修跡などがありますが、実用上は問題ありません。
扉には取っ手代わりにカギをお付けしてのお渡しになります。
ステンドグラスにわずかなひび割れとすき間、などに合わせ目のすき間がありますのでお写真でご確認ください。
年代を考えれば、十分に状態の良いお品だと思います。

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当店ではご注文後に商品のお手入れしております。
ぐらつきがないか、引き出しや扉の開閉チェックなど、経験豊富なアンティークのプロが丁寧にメンテナンスします。
お掃除やワックスがけ、足裏フェルトの貼りつけまで行いますので、受け取ったその日からお使いいただけます。
再販売されるようなプロの業者様も納得のメンテナンスですので、実用面でも安心してお使いいただけますよ。

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