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アールデコサイドボード

フランス

ウォールナット材

1920年頃

横幅：139cm　奥行：50cm　高さ：151cm(天板高104.5cm)

アールデコ様式のミラーバックサイドボードです。
非常に特徴的なデザインで、独特の存在感がありますね。
アンティーク家具ではどのような様式でも、その様式をどの程度取り入れているかというのはお品により様々です。
そうした意味でこのお品はアールデコの特徴を強く表しているというか、アールデコだとお手本のような存在のサイドボードだと思います。
象徴的なお品を見ることで、他のお品を見たときにアールデコの影響を感じ取れたりするようになると思います。

アールデコとは、1920年頃から流行した、直線や幾何学的なデザインです。
1925年にパリで行われた博覧会(アールデコ博覧会とも)からそのように呼ばれるようになりました。
曲線的優美なデザインの富裕層向け高級品であったアールヌーボーに対して、工業化の時代を迎えつつある時代に生まれた大衆にも向けられたデザインです。
アールデコの中には富裕層向けの高級なものもありましたが、大衆向けであったものもありました。
この頃以降から職人さんが作るアンティーク家具から現代のような家具に次第に近くなっていきます。
大衆向けとは言いつつも、この現代まで残っているということは、それなりに高級品だったんだろうなあと思います。
直線的というのも大まかな特徴で、それほどカクカクしたような印象はなく、私は好きなデザインです。
このお品のように個性的なデザインもしばしばあり、デザインすることへの模索が感じられます。

立体的とも言えるようなブドウの彫刻、もこもことしたミラーの形状、足のデザイン、曲線と直線のバランスなど、本当にアールデコらしいデザインだと思います。
取っ手金具さえその特徴を良く表していると思います。
天板に大理石が使われていることも、これくらいのお色で仕上げられていることもそうですかね。
これらを取り入れつつもその他の様式などとも融合させたものはしばしば見かけますが、ここまで特徴的なものはめったに見つからないお品だと思います。
私も説明文中に”アールデコの影響”という表現を使いますが、このお品の場合、これぞアールデコと言ったデザインだと思います。
20年以上前はもう少し見かけることもあったんですけどね、年々見つけづらくなっています。
そんなアールデコの象徴のように表現していますが、扉部分にはアーチ状のデザインが取り入れれています。
これはゴシックの影響を感じさせるものだと思います。
さらにその外側は中国などの丸い飾り窓のようでもあり、ゴシックのバラ窓のようでもあるデザインになっています。
この当時に出てきた最新のデザインと言えども歴史の上に積み重ねられていることを感じられるのも良いですね。

背板や引き出し底板にまで無垢材が使われていることからも高級なお品であることがうかがえます。
お写真ではわかりづらいのですが、ミラー部分の面取りも厚みがあります。
これだけの面取りをしようと思うとそれだけ厚みのあるミラーを使う必要があるので、これもまた贅を凝らした装飾だと思います。
中央の引き出し扉がついた部分だけ少し下がったデザインになっているのも特徴的です。
こうなっていることでその左右の高い部分(半円の窓のような部分)との高さの対比を生み出しているのも素晴らしいデザインだと思います。
一見するとこの外側部分も扉になっている方が使いやすそうですが、扉にしようと思うと扉自体に枠が必要になるのでこの半円部分が小さくなってしまいます。
ここは利便性よりもデザイン性を重視した結果と言えるのではないでしょうかね。
またこうなっていることで剛性が増し、サイズとしても横幅を拡げずに済む効果もあると思います。

これだけの素晴らしいお品はおそらくもっと大きなキャビネットやダイニングテーブルなどとのセットになった高級なダイニングセットとして作られたものだと思います。
おそらくセットで見つかれば大変高額なお値段と広い置き場所が必要になってしまうので、サイドボード単体で見つかったことはむしろ幸いだったように思います。
非常に珍しく今後もより見つけづらくなるお品をぜひご検討くださいね。

左の大理石に少しの欠け、扉内棚板にカケと虫くい跡、扉にひび割れがありますのでお写真でご確認ください。

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当店ではご注文後に商品のお手入れしております。
ぐらつきがないか、引き出しや扉の開閉チェックなど、経験豊富なアンティークのプロが丁寧にメンテナンスします。
お掃除やワックスがけ、足裏フェルトの貼りつけまで行いますので、受け取ったその日からお使いいただけます。
再販売されるようなプロの業者様も納得のメンテナンスですので、実用面でも安心してお使いいただけますよ。

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